団体戦におけるリスクを負える強さ

最終更新日:2018/03/03
執筆者:華郷(@ka_kyo)

1.はじめに
 団体戦における強さとはなんでしょうか。声かけ、札合わせ、並びの読みなど様々あります。その中でも団体戦独特のリスクの負い方について考えてみたいと思います。

2.団体戦でのリスクの負い方
団体戦で勝つためには3人団体では2勝、5人団体では3勝しなければなりません。しかし、逆に言えば残りは負けても勝てると言うことです。このことを利用して勝利をつかむことが可能になります。これは札合わせでも同じですね。簡単のために3人団体で考えてみましょう。
 例えば、チームAに絶対的エースのA級がいる場合を考えてみましょう。
チームA対チームB
①A級対C級
②C級対C級
③C級対C級
の対戦とします。また、全員が相手陣を取って試合を進める攻めかるたをするものと仮定します。

2.1.①が圧倒的優勢なチームAの場合
 チームAは2人で1本を考えることが出来ます。常にどちらかが取っていれば勝てるのです。攻めかるたの場合、個人戦では自陣が読まれ続けると負けるリスクがあります。しかし、団体戦では自分の自陣が読まれ続けてももう1人の相手陣が読まれれば勝てることになります。自分が取れなくても仲間が取ってくれるとなれば、自陣を取れないというリスクがあっても、チームとして負けるリスクはほとんどなく、相手陣をより有利に取れるという大きなリターンを得ることが出来るわけです。

2.2.①が圧倒的不利なチームBの場合
 チームBの状況を見てみましょう。①は相手のエースに取られるのが確実なわけですから、2人で2勝しなければいけません。絶対に勝つためには出札に依らずに勝つためには相手陣も自陣もケアしなくてはいけなくなり、勝ち筋が弱くなるリスクになります。自陣を取られるリスクを負い相手陣に注力すれば、個人のリスクはそのままチームの負けのリスクにつながります。先ほどのチームAの2本で1本の場合と比べると、どちらをとってもチームのリスクを負わなければいけないわけです。

2.3.実力差がある①で負うリスク
 ここで、先ほどは絶対的エース(チームAのA級)は負けないと言う仮定をしていました。絶対的エースは本当に勝てるのでしょうか。
 対戦する6人全員が①の勝敗はチームAが勝つ可能性が高いだろうと考えているとします。そうなるとチームAは①で絶対に負けられなくなり、リスクを負いづらく負け筋を減らす必要が出てきます。対して、チームBの①は負けて元々な訳ですからリスクは負いやすく相手陣を取ることに集中できます。こうなるとチームAの優位性が崩れてきます。これが団体戦で下克上が起こる要因の一つです。
 チームBが①でリスクを負えることで①の試合が接戦になればチームAは②③でリスクを負いづらくなります。そうなると②③の同級対決がチームB不利から対等に変わります。

3.最後に
 個人戦ではリスクを負えば、そのまま試合の勝敗に関わるリスクにつながります。しかし、団体戦では個人としてリスクを負ってもチームのリスクにならない場合があります。これが「団体戦でリスクを負える強さ」となります。

初稿:2018/03/03