ちはやふると競技人口増加の関係についての考察4

1 2 3 4 5 6 7 8

最終更新日:2016/12/25
執筆者:華郷(@ka_kyo)

4.初段取得者数の推移
 初段取得には全日本かるた協会の公認大会もしくは主催大会D級で3位(ベスト4)以上の成績で申請することが最も多い。そのためには小倉百人一首を“競技かるた”として取り組む必要がある。この指標は「その年度に競技者として新たに競技に取り組み、それを習得した人数」と相関を持つと考えても妥当だと思う。(D級出場の時点でほとんどの競技者がある程度習得しているが、D級出場者総数を計測するのは難しいので、特に習得しているものとして初段取得者を考える。)段位取得者数のデータは過去の昇段者数一覧表[20]や全日本かるた協会機関誌「かるた展望」[21]、事業報告書[19]などから得た。
 初段取得者数の推移との関係性を比較する。図2に2005年から2015年の初段取得者数の推移を示す。こちらも2008年の単行本発売後に増加している。単行本発売翌年の2009年に微増している。図3に1989年度からの段位数を示すが、2008年までも年々微増しているため、単行本発売の影響と断定するのは難しい。2011年以降、急激に増加している。これは連載以前の増加率とは大きく異なる増加率を示している。会員数の増加でも述べたが、競技を始めてから初段取得には1年以上のタイムラグがあると考えるのが妥当である。2007年末の連載開始、2008年5月の単行本発売からちはやふるの人気が大きくなり、初段取得者の増加につながるまでは2年~3年としても、2011年の急速な増加は妥当な数字ではないかと思う。


図2 初段取得者数の推移とちはやふるの関係(2005-2015年度)


図3 初段取得者数の推移とちはやふるの関係(1989-2015年度)

前の項目へ 1 2 3 4 5 6 7 8 次の項目へ

参考・引用文献一覧
初稿:2016/12/25